
アクセス困難海岸に着岸できるフェリーを活用。岡山、香川の離島海岸清掃を実施しました!
(一社)みんなでびぜんはこの度、アクセス困難海岸に着岸できる民間フェリーを使⽤して、岡山、香川の離島海岸清掃を行いました。
なお本事業は、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環として、瀬戸内海の海洋プラスチックごみ対策に取り組む、瀬戸内オーシャンズX推進協議会の「瀬戸内海洋ごみ削減行動促進支援基金」を活用し実施しました。
イベント概要
瀬戸内海には727島(外周100m以上の島)があり、岡山県・香川県にも合計約200もの島があります。その多くは無人島ですが、人が住んでいる島であっても人不足や高齢化により海岸に多くのごみが溜まってしまっている場所が見られます。また、有人島であっても、道がつながっておらず船でしか近付けない海岸がほとんどであり、そのような場所に溜まったごみは長年回収されず取り残されています。
そこで、そうした海岸に着岸できる民間フェリーをチャーターし、離島の海岸清掃をボランティアだけでなく学生、企業等多様な主体らが県境を越えて連携し実施しました。
(参考)
清掃場所 | 日程 | 参加人数 | ごみ回収量 |
---|---|---|---|
①白石島(岡山県笠岡市) | 令和5年9月16日(土) | 82名 | 約1,000 kg |
②牛島(香川県丸亀市) | 令和5年10月6日(金) | 21名 | 約200 kg |
③手島(香川県丸亀市) | 令和5年10月15日(日) | 173名 | 約2,000 kg |
※②牛島では清掃に適した場所があったためフェリーを利用せず清掃活動を実施
事業目的と成果概要
【事業目的】
- 船でしか上陸できない海岸で、一般ボランティアによる海洋ごみの回収体制モデルの実証を行う。
- 海洋に流出するごみの約8割は陸から発生しているということを、離島でのごみの散乱現状や清掃活動を通して実感し、海洋ごみ問題を自分事として捉える機会を提供する。
- 消費者として、今後の生活における工夫や取り組みなどのアクションにつなげる。
- 多様なメンバーと連携し、若年層を中心に多くの方に参加してもらう。
【成果概要】
今回多様なメンバーが連携し、船でしか上陸できない海岸での一般ボランティアによるごみ回収体制モデルの実証を行いました。合計3箇所の離島で、3トンを超える量のごみを回収することができました。
また参加者は若年層を中心に延べ約300名もの方に参加いただき、海ごみ問題の問題意識を持つ人や今後も清掃活動に参加したい人を増やすことに繋がりました。
白石島(岡山県笠岡市)での清掃
国指定の名勝でもある白石島は、沢山の奇岩・巨石が多い風光明媚な島で観光客にも人気です。しかし島の海岸には多くのごみが漂着し、島民や漁業者のみなさんも心を痛めています。清掃対象の海岸は春にも漁師さんたちが清掃を行った場所ですが、その後の台風や潮の流れにより、参加者たちが驚くほど多くのごみが再び漂着していました。今回の活動では地元漁業者や地元企業、近大福山高校の学生など総勢82名が集まり、約1,000kgものごみを回収することができ、海岸は見違えるほどきれいになりました。
ごみは笠岡市の全面協力のもと、全て運搬処分していただきました。
牛島(香川県丸亀市)での清掃
牛島は人口が8人(2018年1月1日時点)の小規模離島です。今回の活動では丸亀市職員を中心に島外から21名が集まり、約200kgのごみを回収しました。島の外から島に流れ着くごみは、高齢化が進む離島の島民のみで回収するのは厳しく、地域住民などの協力は欠かせません。
またこの場所のごみはペットボトルなど日用品のプラスチックごみが多く、ペットボトルのラベルや発泡スチロールは波に打たれ、紫外線にさらされ、小さく砕けていました。こうしたプラスチックごみが5㎜以下になると、マイクロプラスチックになり回収が困難になります。そうなる前に回収が必要です。
この様な現場を見ることで、改めて日常に使用しているプラスチックを、少しでも減らせるように努力していきたいと感じます。
手島(香川県丸亀市)での清掃
手島はかつて平家の落人が住み着いたと伝わる歴史ある島。人口は20名(2018年1月1日)ですが、今回の活動ではなんと170名を超える参加者が岡山県と香川県から集まり、アクセス困難な海岸の清掃を行いました。岡山は児島観光港から、香川は丸亀港から別々の船に乗り、手島へ向かいます。
岡山の山陽学園高校など学生を中心に、地域ボランティア、島民などが集まり、約2,000kgものごみを回収しました。漂着のごみの量に参加者から驚く声もあがるなか、みなさん一生懸命にごみ拾いをしました。時間が経つにつれ風が出て、波も高くなってきたので、清掃時間を短くして予定より早めに切り上げ、それぞれの船で港に戻りました。参加者からは「もっとごみを拾いたかった」と無念の声が複数聞かれた会でした。ごみは民間フェリーで丸亀市の全面協力のもとパッカー車を現地まで持ち込み、運搬、処分をしていただきました。
参加者・保護者からの声
手島での清掃活動参加者にアンケートを実施しました。
・調査期間:令和5年10月15日(清掃日)~18日
・回収数 :89件(有効回答率100%)
・回答抜粋:
参加後の感想で最も多かったのは「ごみの量の多さに驚いた(52 件)」で、「ごみ拾いにより達成感やきれいになる楽しさや喜びを感じた(15 件)」「清掃活動の重要性(14 件)」が続きました。98%が海洋ごみに関する学びがあったと答え、海洋ごみ対策に係わる参加者への影響が確認できました。
主催者(基金採択事業者)より
道路のないアクセス困難な海岸に、上陸舟艇を桟橋代わりに用いて多くのボランティアのご協力のもと、長年溜まっている漂着ゴミの回収を中心に活動しています。
今期からは活動範囲を岡山県から香川県に広げて活動しています。事前調査を行った上で、学生さんや企業、団体、個人、行政の方など一緒に清掃の活動の輪を広げています。ひなせうみラボのHPにてボランティアの募集をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
団体概要
一般社団法人みんなでびぜん
備前市日生町にある渚の交番「ひなせうみラボ」を運営し、海洋学習や海ごみについて学ぶ環境教育の拠点として、山・川・海の環境を守るためにSDGsに取り組んでいる。当施設ではアマモ場の見学・流れ藻回収・アマモの種まき体験、海ごみ調査・回収・アート作品づくりなどを体験することができる。また、地域の人々や学生・企業・漁師たちと共に、「海の大切さ」を学び、次世代を担う子ども達が海をより「自分ごと」として捉え、海を未来に引き継ぐ行動の輪を広げる拠点となることを目指している。