人の立ち入りが難しい離島海岸で戦略的清掃活動 無人島の海岸に散乱する大量の漂着ごみを回収!

2023年3月~5月 広島県江田島市

特定非営利活動法人自然環境ネットワークSAREN(以下、SAREN)が、広島県江田島市「大奈佐美島」の海岸に散乱する大量の漂着ごみ回収活動を実施しました。大奈佐美島は、桟橋がなく一般のボランティアでは上陸が困難な無人島。地元漁業者や海洋土木業界の方々と一緒に活動し、プラスチックごみなどを効率よく回収しました。
なお本事業は、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環として、瀬戸内海の海洋プラスチックごみ対策に取り組む、瀬戸内オーシャンズX推進協議会の「瀬戸内海洋ごみ削減行動促進支援基金」を活用し開催しました。

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イベント概要

【開催概要】
無人島の海岸に散乱する大量漂着ごみの清掃

【活動日程】
2023年3月15日(水)、4月12日(水)、4月17日(月)、5月2日(火)
各日 9:00~16:00

【開催場所】
広島県江田島市 大奈佐美島

【参加人数】
4日合計 約80名余り

【協力団体】
大新土木株式会社、広島県(GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム)、江田島市

毎年県内ワースト2位…離島海岸に流れ着く大量のごみ

離島や半島の先端部など、人のアクセスが困難な海岸では、流れ着いたごみが放置されたまま堆積し、全国的な課題となっています。

今回の対象地である大奈佐美島もその一つで、広島県の海岸漂着物量調査では毎年ワースト2位(漁業系を除く生活系プラの漂着量ワースト1位)となる無人島です。船でしかアクセスできない大奈佐美島の海岸に上陸し、堆積した漂着ごみの回収・分別を行い、排出、処理までの一連の流れを地元漁業者、海洋土木企業、自治体と連携して行いました。地域の課題として危機感を持つメンバーが集まり、協力して解決する地元密着型の清掃活動モデルかつ横展開できる仕組みづくりを目指しています。

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豊かな瀬戸内海を守りたい!人の熱い思いが人を動かす

SARENは広島に根差した団体で、「自然、歴史、文化」と実際に接することのできる機会づくりや保全活動を行い、次世代へ引き継いでいく活動を展開している団体です。海洋ごみに関しても、離島での海岸清掃や海洋ごみを活用したワークショップなどを多数実施してきました。

普段の活動の中で目にする無人島に漂着するごみを何とかしたい!美しく豊かな瀬戸内海や広島の風景、島、恵の数々を、次の子供たちにも継いでいきたい!という強い思いから、今回の大奈佐美島の活動を計画し、関係者に声をかけ協力を仰いだそうです。根気よく続けた調整とまっすぐな思いが伝わり、「地元のために」という思いと今までも地道に活動を続けてきた団体としての信頼が、関係者のみなさんを動かしたように思います。

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戦略的な思想活動。活動計画と作業分担が重要!

実際の清掃活動は、海岸線を複数エリアに分けて班分けし、作業順序を決め、各人の役割分担をしたうえで効率よく実施しました。

流木や危険物などを先に避ける、フロートなど大きなものを固めて置くなど体力が必要な作業は土木会社の方々が率先して実施し、細かいプラスチックなどを拾っては積み上げる人、積み上げたものを回収して回る人など、作業手順を分解することで全体の生産性を高まります。定期的に休憩もし、安全面や健康管理、船内のトイレ休憩のタイミングまで参加者への配慮を怠りません。

(余談ですが、休憩中、瀬戸内海や島の景色を見ながら食べるおにぎりはとてもおいしかったです♪)

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回収したごみは約2.2t!地域のモデル事業を目指して

3~5月の活動で回収したごみの総量は約2.2トン!

漁業系や生活系の様々なプラスチックが大半を占めていました。発泡スチロールなど細かくなったプラスチックは、草や砂に交じってしまい人力では分別しての回収が難しくなります。とはいえ、砂などと混ぜたまま回収すると、処理業者さんが困るため混合回収もできません。選別するにも限界があり、微細なプラスチックは地層のように砂の中に溜まったり、風で海や藪の中に降り積もったりしています。すでに散乱しているごみの回収活動を行うと同時に、発生抑制が必須なことを実感します。

今後も同地での回収活動を継続して実施し、他の無人島や同様の課題を持つ場所での活動地のモデルとなるよう、成果をまとめていきます。

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団体概要

特定非営利活動法人自然環境ネットワークSAREN

平成22年に設立された広島エリアを中心に活動を行うNPO法人。中国・四国 地方や瀬戸内海に残る島しょ部をはじめとした豊かな自然や多彩な歴史、神社仏閣・祭りなどの伝統文化など、「自然・歴史・文化」と実際に接することのできる機会づくりや保全活動を行い、次世代へ引き継いでいく活動を展開しています。

http://wit-saren.sakura.ne.jp/

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GREEN SEA瀬戸内ひろしま・プラットフォーム

広島県が2021年6月に設立した、海洋プラスチックごみ対策に係る官民連携プラットフォーム(略称「GSHIP(ジーシップ)」)。瀬戸内エリアでの先頭に立ってこの問題の課題解決に向けて実効的な対策を強化し、県民及び事業者の皆様と一緒になって取組を進められるよう、海洋プラスチックごみゼロ宣言を行うとともに、宣言(目指す姿)の実現に向けての必要な取組を検討、展開。参画企業・団体等(※令和5年4月18日 現在、会員数108団体)

https://gship.jp/

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瀬⼾内オーシャンズX

海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUEの一環として、瀬⼾内海に⾯する4県(岡⼭県、広島県、⾹川県、愛媛県)と⽇本財団が連携協定を締結(2020年12⽉)し、共同で推進している包括的海洋ごみ対策プロジェクトです。外海からの海洋ごみ流⼊が少ない海域(閉鎖性海域)である瀬⼾内海をフィールドに、①調査研究②企業・地域連携③啓発・教育・⾏動④政策形成の4つの柱で事業を実施しています。
https://setouchi-oceansx.jp/